スカイアーチネットワークスからの提案は、ほかと比べて最小構成だったのですが、説明を聞いてここなら安心して任せられると確信しました。
マルホ株式会社
情報システム部 IT管理グループ 榊原 寛明氏(写真左)
広報部 内藤 愛純氏(写真右)

皮膚科学領域に特化した製薬会社、マルホ株式会社(以下、マルホ)では、公開WebサーバーのインフラにAWSを採用するにあたり、スカイアーチネットワークスのマネージドサービス「クラウド運用代行」を導入しました。その経緯と成果について、同社 情報システム部 IT管理グループ 榊原 寛明氏(写真左)と広報部 内藤 愛純氏(写真右)に詳しく伺いました。
マルホ株式会社
- 所在地:大阪府大阪市北区中津1丁目5-22
- 設立:1949年10月(創業:1915年7月)
- 事業概要:医療用医薬品等の研究・開発・製造・販売・輸出入ならびにこれに付帯する業務
- URL:http://www.maruho.co.jp/
大阪府大阪市に本社を置く、医療用医薬品の研究・開発・製造・販売を行う製薬企業。国内のみならず、欧米にも現地法人を設けグローバルな開発体制を整えている。皮膚科学領域と外用剤(塗り薬や貼り薬など)に特化したスペシャリティーファーマとして、世界中の皮膚科学に関する知恵や知見を集め、皮膚科学関連疾患のケアサイクル(予防、診断、治療、アフターケア)の革新に取り組んでいる。
導入ポイント
- サイトのリニューアルを契機に、公開WebサーバーのインフラとしてAWSを初めて採用
- 技術的に裏打ちされたシステムサイズの提案を高く評価
- スカイアーチネットワークスの支援により、AWSに関する疑問点や不安を解消
- 迅速なAWSの構築と手離れの良い運用・保守体制を実現
利用状況/Webサーバーインフラの構築・運用・保守にクラウド運用代行を活用
スカイアーチネットワークスのクラウド運用代行サービスを、どのように利用していますか。
AWSの構築・設定、そして、稼働後の監視および保守をお願いしています。
AWSの利用目的を教えてください。
当社では、2014年7月にオフィシャルサイトを全面リニューアルしたのですが、その際、CMS(Contents Management System)を含むWebサイト運用のインフラとしてAWSを採用しました。
Webサイトの特徴や規模感について教えてください。
当社の場合は、直接、患者様に医薬品を販売したり、効能などをお伝えすることはなく、医師や薬剤師、看護師など医療関係者への製品関連情報の提供が主な目的となります。
また、一般の方に向けた情報は、当社の得意である皮膚科学分野に関するお役立ち情報や、疾患の基礎情報を提供しています。
サイトのボリュームは、現時点のファイル数で見ると約3,500ファイル、年間のPV数は約700万PVとなります。
導入背景
「すぐに使い始められる」というクラウドのメリットを享受するため構築サービスを活用
AWSの構築および運用保守に外部サービスを利用している理由を教えてください。
AWSに関して、設計も、構築も、運用も、何もかも初めてのことでした。そのため、数多くの不明点や疑問点があり、正直、不安も感じていました。自力でそれを克服していくこともできると思いますが、それには時間と手間がかかります。一方、リソースは限られており、時間、手間、コストの余裕があれば、コンテンツの充実に当てるべきだと考えました。そのような状況下、「すぐに使い始められる」というクラウドのメリットを享受するためには、構築サービスを利用するメリットは大きいと考えました。
保守・運用に関しても、同様の背景がありますが、やはり自社で専任の要員を確保するよりも、専門のサービスベンダーに24時間365日体制で監視してもらい、各種パッチの適用など最低限対応しなければならないことも任せ、手離れ良く運用できる体制を実現したいと考えました。
Webサーバーのシステムインフラにクラウドサービスを採用した理由を教えてください。
まずは、クラウドサービスを利用することで、Webサーバーインフラの導入・構築・運用にかかるコストと手間を削減できるのではないかと考えました。そこで今後5年間、データセンターでWebサーバーを自社運用する場合と、クラウドサービスを利用する場合とのコストシミュレーションをしました。その結果、クラウドサービスのほうが6割ぐらいトータルコストを抑えられることがわかりました。
また、AWSのようなクラウドサービスは、拡張性に優れ、高度かつ先進的なファシリティーやセキュリティー環境において運用されています。近年はWebサイトの改ざんや不正アクセスという事件も頻発していますので、その点も魅力的でした。
さまざまなクラウドサービスの中で、AWSを選んだ理由を教えてください。
社内のクラウドサービスに関する知識や経験、ノウハウが十分になかったので、国内外における利用実績が豊富で、先進的かつ技術力に優れた企業が提供するサービスを採用するというのは、自然な流れでした。そのため、最初のクラウドとして、AWSは申し分ないと判断しました。
導入要件
設計・構築から運用・保守まで、ワンストップで対応できるベンダーであることは絶対条件
構築・運用に関するサービスベンダーは、どのように選定したのでしょうか。
5つのサービスベンダーにCMSの設定要件や当社の要望を伝えて、設定案と保守・運用サービスの内容を提案してもらいました。
サービスベンダーを選択する際の主な要件は次の通りです。
- AWSの構築と運用を一括で引き受けてもらえること
- AWSの構築・運用に関する実績が豊富
- AWSだけでなくクラウドサービス全般に明るいこと
- 技術的な疑問点などに答えてくれること
- レスポンスが丁寧で迅速なこと
これらの中でも、「AWSの構築と運用を一括で引き受けてくれること」は、絶対条件でした。構築と運用をバラバラにしてしまうと、その間を取り持たなければならず、かえって負担が大きくなってしまうからです。
また、当社にクラウドやAWSに関する知識やノウハウがないことから、「AWSだけでなくクラウドサービス全般に明るく」、依頼する作業に関係なく「技術的な疑問点などにすぐに答えてくれる」ベンダーが理想的でした。
なお、当初は大阪都市圏に拠点があるということも、要件として考えていました。しかし、考えるとAWSはコンソールからの設定ができれば場所や地域は関係なく、データセンターに出向いたり、オンサイトでサポートしてもらう必要もないので、「レスポンスが丁寧で迅速なこと」という要件に変えました。

選定理由
技術力はもちろん、顧客第一の姿勢も高く評価
スカイアーチネットワークスの提案を採用した理由を教えてください。
スカイアーチネットワークスは、コンテンツの制作を依頼している会社から紹介されるまで存じ上げなかったのですが、提案書の内容を見て、AWSおよびWeb技術に長けていることはすぐにわかりました。また実際に話を聞いて、こちらの疑問点や不明点にその場ですぐに答えてくれたことで安心できました。
その一方、提案されたシステム構成がほかの提案よりも小さなサイズだったので、初見の段階では不安を感じました。しかし、その件に関する詳細な説明を受けたとき、逆にAWSのことをわかっているからこそ、オーバースペックではなく最適なサイズの提案をしてくれたことがわかりました。

具体的には、どのような説明だったのでしょうか。
今回は、静的コンテンツを中心とした公開サーバーなので、キャッシュや負荷分散を適切に設定すれば、システム自体をむやみに大きなものにする必要はないという説明でした。仮にシステムのスケールアップやスケールアウトが必要な場合は、柔軟に対応できることも再認識しました。そのようなやり取りを通じて、クラウドのことをよくわかっているだけでなく、顧客のことを第一に考えてくれているという姿勢も伝わってきました。
運用保守に関する点は、どのように評価されたのでしょうか。
クラウドだけでなく、さまざまな企業のさまざまなシステムの運用保守を担ってきた経験やノウハウがあり、運用保守に関する独自の仕組みやツールを持っているという点を評価しました。また、運用保守に関しては、「どこまで」、「何をしてくれるのか」がわかりにくい提案もありましたが、スカイアーチネットワークスの場合は、明確にメニュー化されており、内容も充実しているので、コストバランスを考えながら最適な運用保守サービスを選択することができました。
導入効果
インフラの構築も運用保守も、手離れ良くできる体制を実現
AWSおよびクラウド運用代行の導入効果について教えてください。
まずは、先ほども話しをしたように、適切なサイズでスタートできたというのは、良かったと思っています。システムの設定やサイズの問題だけではないかもしれませんが、公開から数か月が経過して、AWSやその設定などが原因でトラブルにつながったことは、一度もありません。
また、スモールスタートだけでなく、迅速にスタートできたことも良かったと思っています。AWSの設定が完了しないと、CMSの設定なども始めることができませんので、サイト公開に合わせた期間でAWSが使えるようになったのはとても助かりました。また、サーバー公開後にすぐテストサーバーやアクセス分析用のサーバーなども追加したのですが、それも迅速に対応してもらい助かりました。
スカイアーチネットワークスに聞くと、特別なことではないという返答でしたが、これまでオンプレミス環境でシステムを構築してきた経験からすれば、数ページのヒアリングシートを記入するだけでシステムインフラの設定ができてしまうというのは、まさに画期的なことでした。
運用保守面に関してはいかがですか。
極端な言い方をすれば、運用保守に関しては負荷がまったくかかっていないというのが実状です。通常は、安心して運用保守のことを忘れることができ、いざというときには決められた手順で連絡が来る体制を維持できているというのが、一番の効果だと考えています。
要望と期待
これまでと変わらない迅速かつ丁寧な対応に期待
スカイアーチネットワークスへの要望や期待があればお聞かせください。
導入検討の段階から、AWSに関することだけでなくいろいろな質問をさせてもらいました。常に迅速かつ丁寧に答えてもらえたので本当に頼りになる存在でした。今回のWebサーバーの公開に限らず、今後はほかの社内用システムでも、クラウドの利用を検討していきたいと考えていますので、引き続き、相談に乗ってもらえると嬉しく思います。
- 取材:カスタマワイズ
- 取材日:2015年2月
- 記載の担当部署は、取材時の組織名です。
担当者からのコメント
マルホ様のWebサーバーの構築・運用に当社のサービスが貢献できたとことを嬉しく思っています。マルホ様は、皮膚科学領域における国内のリーディングカンパニーとして知られており、「外用剤のことならマルホに聞け」と言われるほど、医師や薬剤師からの信頼は厚いと聞いています。また、最近では自社ブランド化粧品「iniks(イニクス)」の販売なども開始しています。
今回、初めてAWSを利用されるにあたり、「疑問点も不安も多かった」とコメントされていましたが、AWSの英語のドキュメントなども読み込まれていて、技術的にもレベルの高い質問が多く、担当エンジニアからは「マルホ様からの質問に答えるときは、いつも以上に緊張する」と聞いています。
今後も、マルホ様のビジネスをサポートするサービスや提案をしていきたいと考えおります。
スカイアーチネットワークス 営業本部 リーダー 岡田 行司

備考
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