渥美俊英さんインタビュー ~AWSとスカイアーチ~第6章 『クラウドエンジニアのスタイルとは?』

2017年よりスカイアーチ顧問に就任された元AWSエバンジェリスト、渥美俊英さんに、
スカイアーチ専務の高橋が、これからのクラウド業界について、
さらには、なぜスカイアーチの顧問を引き受けていただいたのか、様々な事柄をお聞かせ頂きました。

第1章~6章の予定でしたが、内容が収まりませんでしたので、全7章、次回が最終章とさせて頂きます。

第1章『ITとのかかわりと今後のクラウド業界』
第2章 『クラウドと仮想化は似て非なるもの?』
第3章 『AWSは今までのITベンダーと何が違うの?』
第4章 『AWSのパートナービジネスって?』
第5章 『スカイアーチを選んだ理由は何ですか?』


第6章
『クラウドエンジニアのスタイルとは?』

高橋
そういう流れ(注.1)の中で、今後、エンジニア達がどんな事に気をかけたり、どんな考え方、行動をすれば素敵なお仕事が出来るのでしょうか?
Tips(注.2)とかあるんでしょうけど、既にクラウドのエンジニアとして活躍している方を多数、渥美さんはリアルにご存知かと思いますので…

渥美
クラウド時代のエンジニアは、今までの伝統的なITエンジニアとは、違うスタイルがあると思っています。
どんなスタイルかっていうと、まずは広い視野を持って、何でも、色んな事に関心を持とう。そしてその上で、お客様のビジネスのことを最初に考えよう、そのために、クラウドのサービスをどうやって組み合わせれば、お客様のビジネスに最も貢献出来るかという事、それを最初に考えることがクラウドだと可能になる。まずは関心を持つこと。
次に、今までのエンジニアとは違い、実際にクラウドだと、考えたシステムがすぐに試せるという事。考察したシステムを実際に、自分の手を動かして、試してみようとすぐに行動出来る。
最後はコミュニティ。クラウドは、誰でも同じように使える共通の道具です。コミュニティなどに参加して、様々な事例を調べて参考にしたり、学習していくというのが、クラウド時代のエンジニアのあり方だろうと思います。

高橋
今おっしゃられた3つの行動の変容…今までのやり方と違う基準を持った、態度や行動が必要なのかと思うのですけど、もう少し技術寄りに考えた時に、クラウド時代に活躍できるエンジニアの条件とはどんなものでしょうか?

渥美
クラウドというのは…特にインフラですと、ハードウェアの呼称だとか、細かいボードとか、機器の組み合わせは抽象化しているんですよね。そこはクラウドの内部で解決されているので。
だからと言って、今までのインフラの経験とか、知識がいらないのかというと、全くそういう事ではありません。
インフラの原理、原論を理解している。セキュリティとは何かとか、Webのスケーリングとは何かとか、そういった基本的な要素を、理屈からきちん理解している事が今まで以上に必要になるんですよね。
だから、今までオンプレしかやってない、クラウドはやったことがない、これから勉強するといった人も全く躊躇する事は無いのです。
今までしっかりとオンプレで培った理屈、知見と経験というのは、クラウドでさらに増幅されると思うので、心配しないで勉強して欲しいと思います。

そして、ポイントはAPI(注.3)。ソフトウェアで全てが動いているのがクラウド環境なので、新たに勉強するポイントはコードですね。
コードベースで、今まで手作業となっていた工程に、なるべくマネージドサービス(注.4)を使う。
プログラミングについては、後にライブラリとして利用出来る様に、同様のコードを利用、応用が可能であり、同じ実行結果が得られる事が重要になっているので、新たにコードによるエンジニアリングを勉強して欲しいと思います。

それからクラウドというのは、オンプレと比べるとセキュリティを重視するという傾向がありますけど、実はセキュリティについても、オンプレよりもクラウドの方が安全だという考え方もあるんですね。
全てのものがプログラムで、統一的にコントロール出来るので…例えば、セキュリティにおいても、監査も含めてAPIでリアルタイムに行うことが出来ることが現実解になっています。
ぜひクラウドならではの、安全な使い方を実現していてほしいと思いますし、そのためのシステムの勉強をして欲しいと思います。

高橋
渥美さんの親しくされている方で、クラウド業界のど真ん中で活躍されている、エンジニアの方はたくさんいらっしゃると思います。
最初からクラウドのエンジニアをやっていらっしゃるということはないと思いますけど…どういうご経歴、バックグラウンドをお持ちの方がいらっしゃるでしょうか?
それとも、どのような経歴からでも、参入出来るとお考えですか?

渥美
クラウドというのは、経験をしていないと、非常に縁遠いように思えるかもしれないけど、実は物凄く勉強しやすく、理解しやすいのです。
なぜかというと、クラウドは、インフラの原理、原論を理解していれば、とても応用が利くという部分があり、長くインフラを担当してたけど、アプリケーションをやってみたいという人、逆にアプリケーションをやっていた人は、コードが解ればインフラもキャッチアップしやすいので、様々な経歴の人々が才能を広げられると思います。

実はクラウドというのは、今までの伝統的なITと比べると、全てのエンジニアが同じサービスを使うという形なので、どう使っていくかというベストプラクティス、その考えが凄く整理されているんですね。
設計については、Well-Architected(優れた設計)というのは何かとか、勉強すべきカリキュラムというのが非常に整理されています。
運用に強い、基盤に強い、開発に強いとか、自分の経験の色んなバックボーンを、クラウドの教育の体系で整理する。そしてまた、自分が経験していない分野も、体系化されているものを勉強する事で、自分の可能性を広げる事が出来る。 こういう点で、クラウドというのは凄く取り組みやすいと思いますね。

スカイアーチは、エンジニアが、AWSやクラウドの公認資格を取る為の支援制度が整えられていたり、社内で勉強会を開催しているという事もあり、のびのびと、自分の力を伸ばすことが出来ると思います。
既にクラウドの使用を経験しているエンジニアであれば、クラウドネイティブの会社の中でクラウドへの関心と知識を伸ばすという事が出来ると思うので、すごく良い機会が持てるのではないでしょうか?
在籍するエンジニアの7割が、AWSやクラウドの公認資格を取得しているというのも、勉強するのに良い環境ですね。

注.1:前章からの続き。クラウド業界の現在の流れ。
注.2:秘訣、ヒント、コツ
注.3:アプリケーションプログラミングインタフェース。ソフトウェア機能の共有。
注.4:サーバー運用管理、保守や障害時の対応など、システム管理を一括して請け負う、アウトソーシングサービス。クラウド利用においては、ベンダーに運用管理されているAPIを組み合わせて利用する=マネージドサービスの活用。と考えられる。


次回
最終章『クラウドビジネスの将来性とは?』

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