非エンジニアがディープラーニング検定for General(G検定)を受けた話

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こんにちは、スカイアーチネットワークスの安藤です。

先日、JDLA DeepLearning for GENERAL 2018#1(G検定)に合格いたしましたので、ブログにまとめさせて頂きます。

G検定とは?

日本ディープラーニング協会(JDLA)が主催する、人工知能、機械学習、とりわけ深層学習に関する資格試験です。ただ、受けた後の感想としては、人工知能の基礎知識および動向全般を問う試験だったと思います。

試験名称 :JDLA Deep Learning for GENERAL 2018 #1
概要   :ディープラーニングを事業に活かすための知識を有しているかを検定する
受験資格 :制限なし
試験概要 :120分、 知識問題(多肢選択式)、 オンライン実施(自宅受験)
出題問題 :シラバスより出題(推薦図書あり)
受験料  :12,960円(税込)
試験日程 :2018年6月16日(土)13時~15時

※自宅のPCで受験する為、テキストやWebサイトを見ながら回答する事も可能だが、実際にはまったく余裕がない(後述)

受験の動機

以前からブロックチェーンやIoTについて個人的興味で勉強しているが、どのジャンルでもAIが絡んでくるので、「これは向こう10年ぐらいの時間軸で見た時に、アウトラインだけでも押さえておかないとマズい知識なのかもしれない」と思った。

あと、資格自体が欲しいというよりも、体系的に何かの知識をインプットするには、やはり資格を取るのが効率的だなと思った。(試験料を払えば、イヤでもやらなきゃならなくなるので挫折しないだろう、と)

受験者のスペック

  • 数学は中2で挫折。Σ(シグマ)が読めなかった。
  • プログラミングの素養なし。
  • 非エンジニア(営業職)だが技術そのものは好き。
  • AIの予備知識はほぼなし。NHKのドキュメンタリー見たぐらい。

 

これを読んでる方のほとんどはG検定に受かりたい方だと思われますので、私の感慨はさておき笑、試験に関する所感を以下にまとめさせて頂きます。あくまで、非エンジニアが手探り状態で受験して何とか受かった、という話なので、参考程度の情報です。

問題数と試験時間

問題数がとにかく多い(228問)。
単純に時間で割ると1問平均30秒程度で回答する必要がある。
実際には30秒以上掛かる問題もある為、即答レベルの知識問題を
如何に速く解いて時間を作るかが非常に重要。

Webやテキストの閲覧

自宅PCで受験できることから、試験中にWebサイトやテキストで
問題を調べることが可能。
ただし、上記の通り、問題数が多く、かなり高速で調べる必要がある。
テキストに付箋を貼って用意していたが、ピンポイントで付箋を貼った
ページの内容が出題されることはほぼ稀で、実際にはほとんどWeb検索しか
できなかった。

問題構成

228問は大まかに以下の3つのパートに分類できると思われる。

 ①人工知能全般の基礎知識(2割)
 ②ディープラーニングに関する技術的知識(6割)
 ③人工知能の現行の議論(2割)

という流れで、①と③は楽勝、②が絶望的に難しい、という感じ。
シラバスに記載されている項目は漏れなく全て出題されると考えて良い。

①は松尾先生の本をしっかり読んでいれば即答できるレベル。

  • 人工知能の歴史
  • 人工知能の3度のブーム
    (探索・推論→エキスパートシステム→機械学習)
  • シンボルグラウンディング問題など、AIの課題
  • イーロン・マスクやホーキング博士等の要人発言

などに関する問題が出題された。
概ね、難易度のレベル感としてはG検定のサイトに
記載されている例題に近い。

②が最も難解なパートであり、ディープラーニングに関する
かなり詳細かつ技術的な設問が多数出題された。

単に単語として知っていれば回答可能、という問題はなく、
概念として明確に理解していないと回答が難しいものが多かった。
このパートで試験時間の大部分を消費することになる。

全俺が泣いた。

  • 誤差関数を最小化する為の確率的勾配降下法のアルゴリズム詳細
  • 活性化関数(シグモイドやReLU)
  • CNNのアルゴリズムや画像認識、物体認識の仕組み
  • RNNのアルゴリズムや音声認識の仕組み

などなど。
不明な単語をそのままググって答えに辿り着けるような素直な設問はまずない。

テキストで言えばAI白書+岡谷先生の本という事になるのだろうが、
内容的にこのどちらの本にも書いていないようなものも
一定数あったように思われる。

③は再び難易度が下がり、

  • AIを取り巻く法制度(AIの著作権)
  • 倫理
  • AIの産業への応用可能性
  • 国際的なAIに関する取り組み(団体など)

などが出題された。

これはAI白書に記載されているものが比較的素直に出題されている感触を持った。
ググると検索結果の要約画面に素直に答えが出ているようなものが多い。
ただし、②のパートで時間を大量に消費しているので
やはり時間との闘いになった。

試験結果

合格

総受験者数:1,988名
合格者数 :1,136名 合格率:57.1%

勉強期間

40日程度。
1日3時間×40日=120時間程度

平日:会社の通勤往復の2時間と家で1時間
土日:息子とプロレスごっこを始める前の朝の3時間

勉強方法

  • 指定テキスト3冊をとにかく繰り返し読む
  • 特に松尾本は5回以上精読した。AI白書は2回、
    岡谷本は数式だらけなのでほぼほぼ理解できなかったが、
    目を単語に慣らす意味で5回ほど速読した
  • その他、当社書棚のAI関連の本を5,6冊はつまみ食いした。
  • ネット上のブログで理解を深めた
    https://products.sint.co.jp/aisia/blog

試験を終えての感想

いやー、めっちゃ難しかったっす。
特に②のパートは解いていて心が折れかけました笑
テキストを読み込むことで大まかな概要は把握できたように思いますが、それよりだいぶ踏み込んだ問題が出てきました。

勉強に関して言うと、まず用語と概念の理解。これが大変だった。
勉強の時も岡谷先生のテキストは余りにも数式だらけで、最初「古代ラピュタ語かな、これ」とか思いました。AI白書はタウンページみたいに分厚いので読むのが大変でした。

イメージ的には、松尾先生の本を1周してからAI白書をざっと飛ばし飛ばし読んで、再度松尾先生の本を読んで、今度は別のAI関連のブログや本を読んで、という形で、何度も色んな情報に触れていく、というスタイルで記憶を定着させていきました。
同じテキストを何度読んでも理解できなかった技術が、別のテキストを読んだらスンナリ理解できる、ということもありましたね。

機械学習でできることは大きく分けて回帰と分類なんですが、機械学習と統計学って用語と概念が混在している感じなんですよね。「機械学習と統計学の違いは?」とかググっても、いまいち良く分からなくて。だから、自分の頭の中に、単語を整理して並べていく作業が大変でした。

正直、合格率の高さから言って、二人に一人は受かる試験なのだから大したことないだろう、とタカを括っていたのですが、全然甘かったなと。

事実として高い合格率の試験なのですが、受けていて全然そういう楽勝ムードは有りませんでした。出題者の意図として、

初学者に対しては人工知能や深層学習の難しさ奥深さをしっかり伝えつつ、次のステップへのパスポートとして資格を渡す

という性格の試験なのかもしれません。そういった意味で非常に良心的な資格試験だなと感じました。

今思えば・・・

  • 確率的勾配降下法、RNN、CNNはもっと深く理解しておく必要があった
  • さわりだけでも数式を読めるようになっておくべきだった
  • 恐らくAIの実装経験があるとかなり有利。実装経験がないと、概念の理解も難しかった

といったところでしょうか。

試験を受けて何が変わったか

AI関連のサービスに対する理解度が大幅に向上しました。

「このサービスは裏側でCNN(畳み込みニューラルネットワーク)を使ってるんだろうな」とか、そういった事が推測できるようになりました。同時に、「こういう業務でディープラーニングは使えないだろうか」あるいは、「こういう業務って、将来的にAIで代替されてしまうのではないだろうか」といったことを日頃から考えたりするようになりました。

 

以上です。これから試験を受ける方のご参考になれば幸いです。

投稿者プロフィール

安藤 祐輝
安藤 祐輝
営業本部/コンサルタント
1979年 埼玉県出身 AI/IoT/Blockchainを愛する男。

#喫茶店で隅の席が落ち着くタイプ
#喫茶店で手を挙げ続けても店員に気づかれないタイプ
#半年通った居酒屋で「ご来店は初めてですか」と聞かれるタイプ
#プレゼンする前に本を一冊読むタイプ
#会議室を片づける時に同じ机を何度も動かし全く役に立ってないタイプ

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営業本部/コンサルタント 1979年 埼玉県出身 AI/IoT/Blockchainを愛する男。 #喫茶店で隅の席が落ち着くタイプ #喫茶店で手を挙げ続けても店員に気づかれないタイプ #半年通った居酒屋で「ご来店は初めてですか」と聞かれるタイプ #プレゼンする前に本を一冊読むタイプ #会議室を片づける時に同じ机を何度も動かし全く役に立ってないタイプ