サイバーパテント株式会社(以下、サイバーパテント)は、日本で2001年に設立され、知的財産に関する情報提供サービス、ソフトウェア開発、コンサルティング、教育研修を提供する企業です。主力サービスには、特許・知的財産の検索、集計、分析を支援する「CyberPatent Desk」、知的財産戦略策定のための「CyberPatent Desk テキストマイニング」、そして企業や大学向けの知財管理システム「Equinox TOPAM」などがあります。同社はフランスの大手知財ソリューション企業Questelグループに属しており、グローバルな知財ネットワークを活かしたサービス展開を強みとしています。こうした事業を通じて、企業や研究機関の知的財産戦略を支援し、技術革新の基盤を支える役割を担っています。
導入ポイント
- AWSの高い専門性がある
- 高いセキュリティ要件を満たしながら、インフラの運用を任せられる
- インフラの管理を任せられるため、アプリケーションの開発に集中できる
導入した主なサービス
導入背景
-
貴社の事業について教えてください

ガルシア様:弊社は、知的財産に関するあらゆるサービスと製品を提供している会社です。知的財産とは、特許や商標、意匠など産業財産権の他、営業秘密など様々な権利を指しますが、これらの権利化や戦略に関する一連のプロセスをサポートしています。例えば、新しい発明が生まれた際に、特許等の先行技術調査から、特許出願、特許庁審査官の指摘への対応、権利維持、更新のための手続き、さらには海外出願のための翻訳まで、知的財産に関わる全ての段階をトータルでサポートしています。我々が提供しているのは、まさに「ワンストップショップ」という概念です。お客様が知的財産に関する課題を抱えた際に、いくつものベンダーを頼るのではなく、弊社にご連絡いただければ、全てのソリューションをワンストップで提供できる、という体制を整えています。日本語で言うと、百貨店やセレクトショップといったイメージに近いかもしれませんね。
遠藤様: そうですね。知財に関するお困りごとがあれば、弊社にご相談いただければ、何かしらのソリューションをご提案できる体制です。
その中の一つとして、知財管理システムであるEquinox TOPAMがあります。Equinox TOPAMでは例えば、特許権の権利維持では一定の期間で期限内に手続きが必要ですが、その期限を忘れないように通知する機能や、複数の特許を効率的に管理するシステムなどを提供しています。特許権を維持するための特許料の納付期限は各特許権ごとに異なりますし、期限を過ぎると特許権が失効してしまいますので、期限を適切に通知する機能は非常に重要です。
特にメーカーや研究機関では多数の知的財産を保有していますから、このようなニーズが高まっています。すでに、日本国内の企業様100社以上にご利用いただいております。
-
AWSの導入前は、どのようにサービスを運営されていたのでしょうか。また、導入前の課題について教えてください。

- 遠藤様:Equinox TOPAMは非常に歴史が長く、国内で30年以上も展開しているシステムです。長年の歴史のなかで、当初は企業様のデータセンター内、いわゆるオンプレミス環境でご利用いただくことがほとんどでした。
しかし、昨今のお客様は、新規でご提案差し上げる場合、80%から90%がクラウド型での導入を希望されます。そのため、新しくサービスを提供するお客様については、ほぼクラウドサービスが前提でお話が進むようになりました。
-
なぜAWSの導入が進んだのでしょうか。
- 遠藤様:我々が提供している知財管理サービスでは、出願前の研究データなど、非常に機密性の高い情報を取り扱います。そのため、いきなり共有型のアプリケーションサービスとして提供するのはセキュリティ性の懸念から難しいだろうと考えました。そこで、お客様ごとに個別のインフラ環境をご用意する「ホスティング」に近い形が最適だろうという結論に至り、その要件を満たせるクラウドサービスとしてAWSを選択したという経緯があります。
導入効果
-
実際にAWSやスカイアーチネットワークスのサービスを導入してみていかがでしたか。

- 遠藤様:知的財産管理という機密性の高い情報を扱う特性上、非常に高度なセキュリティが求められます。お客様からも、WAF(Web Application Firewall)の実装や、IDS/IPS(不正侵入検知・防御システム)の導入といった具体的なセキュリティ要件が厳しく提示されておりました。これらの要件に対してスカイアーチには詳細にわたりご対応いただいており、企業の厳格なセキュリティ基準にも適合できている点は、導入の大きな成果となっております。
中野様:実はコロナ禍で半導体の生産工場が止まり、実機(オンプレミスのサーバー)を手に入れる目処が立たなくなったことがありました。そういった状況下で提案できたのがAWSでした。クラウド型の普及がさらに加速したタイミングだったと思いますが、その時にはものすごく助けられました。
プロジェクトの受注を止めざるを得ない状況だったのですが、その時に我々が取りうる手段としてクラウドサービスでのご提案ができたので、業績を大きく落とさずに事業を進めることができました。本当に助けられました。
ー導入いただいてから、プロジェクト数も順調に伸びていますね。
遠藤様: そうですね、これにはクラウド市場の拡大も関係しているかと思います。当初はまだクラウドに対するネガティブなイメージというか、信用できないといった声が多く、弊社も中小規模のお客様向けに、スモールスタートでご提案することが多くありました。しかし、最近では大企業でもクラウドファーストで検討するケースが増えており、この10年でクラウドに対する市場の認知と反応は大きく変化したと感じています。
-
定量的、定性的な効果はいかがでしょうか。
- 中野様: 弊社としては、インフラ部分をスカイアーチにお任せすることで、お客様の求めるアプリケーションのご提供に注力できるようになりました。その結果、より多くの案件に対応できるようになり、スカイアーチには弊社のビジネス展開に大きく貢献していただいていると感じています。
遠藤様:弊社はシステムを一から自社開発していますが、インフラの制約により機能が限定されることがあります。しかし、AWSの新しい機能やサービスを組み合わせることで、知財管理サービスとして展開できる範囲を広げることができています。例えば、AWSの可視化機能を組み込んで、Equinox TOPAMの可視化機能として提供できており、そういった広がりも非常に大きいと感じています。
今後の展開について

- ガルシア様:弊社はAIについても積極的に取り組んでいます。全サービスがAIオリエンテッドであると謳っており、それぞれのサービスでAI機能を強化しています。今後そうした機能拡充も展開できればと思っているところです。
遠藤様:そうですね、やはりAI機能ですね。弊社の組織だけでは対応しきれない部分を、AWSのAI機能と組み合わせることで、お客様に新しい価値を提案していきたいと考えています。
また、セキュリティに対する意識が高まっており、お客様から非常に厳しい要件が求められています。AWSが提供するリソースを活用し、我々も課題を乗り越えて成長していきたいと思っています。おかげさまで、これまでセキュリティインシデントは発生していません。この状況を継続していきたいですね。






