サービス・プロフィット・チェーン(SPC)とは?


サービス・プロフィット・チェーン(SPC)は、企業が社員を大事に扱うことで、社員は顧客により良いサービスを行うことになり、その結果顧客が企業の商品やサービスを購入することになり、最終的に企業の業績がアップする好循環を起こすという考え方です。1994年にハーバード・ビジネススクールのへスケット教授、サッサー教授によって提唱されて以来、サービス業に有効なフレームワークとして活用されています。今回はこのサービス・プロフィット・チェーン(SPC)に注目し、その概念と悪循環にならないための方法を紹介します。

サービス・プロフィット・チェーン(SPC)の概念

サービス・プロフィット・チェーン(SPC)を構成するのは、従業員満足度(ES)、サービス品質、顧客満足度(CS)、企業収益で、4つの項目が向上しながら循環することで、企業経営がスパイラル的に向上していくという考え方です。従業員満足度(ES)、サービス品質、顧客満足度(CS)、企業収益は単独で存在するのではなく、お互いに影響しながらチェーン(輪)のように回転していきます。つまり、企業経営を継続的に向上させるためには、サービス・プロフィット・チェーン(SPC)の輪を好循環で回転させることが必要で、悪循環に陥ることを避けなければなりません。

従業員満足度(ES)は重要な項目

従業員満足度(ES)は、サービス・プロフィット・チェーン(SPC)の4つの項目である従業員満足度(ES)、サービス品質、顧客満足度(CS)、企業収益のなかで最も重要な項目です。従業員満足度(ES)とは、社員が企業に対して感じる満足の度合いで、従業員満足度(ES)を向上させるには下記の要素が必要となります。

企業理念やビジョンへの共感

企業理念やビジョンは、社会における企業の存在価値や企業が本当に目指すものを表したものです。社員が企業理念やビジョンに共感することで、企業に対して誇りを持つようになり、満足度が向上します。

日々のマネジメントへの満足度

日々の業務をともにする上席のマネジメントも従業員満足度(ES)に影響をおよぼします。部下とのコミュニケーションをとりながら、仕事内容を把握し、上手にほめながら的確にアドバイスを行うマネジメントスキルがあるマネージャーのもとでは、スタッフの満足度が向上します。

社業への貢献度

社員自身の仕事が、チームや組織に貢献していることが実感できる職場において、社員の満足度は向上します。近年、社業への貢献度が「見える化」しにくい職場において、社員同士が貢献に対して感謝を表す取り組みを企業提案で実施している事例が多くみられます。

人間関係

日々の業務を行う職場やチームにおける人間関係も従業員満足度(ES)に大きな影響をおよぼします。人間関係が良好であれば満足度は向上し、何か問題がある場合は、満足度は低下し、最悪の場合退職につながる場合もあります。

ニーズに合った就業規則や福利厚生

企業の就業規則や福利厚生が、社員のライフスタイルや価値観に合いニーズを満たしている場合、従業員満足度(ES)は向上します。■サービス・プロフィット・チェーン(SPC)を好循環で回転させる方法企業経営を継続的に向上させるためには、サービス・プロフィット・チェーン(SPC)の輪を好循環で回転させることが必要で、悪循環に陥ることを避けなければなりません。サービス・プロフィット・チェーン(SPC)を好循環で回転させるには以下のステップですすめる方法が考えられます。

1.企業で、従業員満足度(ES)を高める取り組みを継続的に実施し改善します。

2.企業が実施する取り組みによって従業員満足度(ES)が向上することで、組織への帰属意識が高まり、チームや企業への貢献度やモチベーションが高まります。

3.社員の貢献度やモチベーションが高まることで、チームの生産性が上がり、企業全体の生産性を向上させることになります。

4.生産性が向上することで、業務に余裕がうまれ、その余裕を顧客に対するサービス品質のさらなる向上に向けることができます。

5.サービス品質の向上は顧客の満足度につながり、顧客満足度(CS)が生まれます。

6.サービス・プロフィット・チェーン(SPC)を回すことで、顧客満足度(CS)が育成され、既存顧客の優良顧客化や見込み客から顧客へのステップアップが進みます。

7.顧客満足度(CS)の向上によって、企業の提案する商品やサービスの購入がすすみ、企業収益が向上していきます。

8.企業収益が向上することで、企業は収益を今まで以上に従業員満足度(ES)を高める取り組みに投資することが可能となります。

このようなステップを踏むことでサービス・プロフィット・チェーン(SPC)が悪循環に陥ることなく好循環で回転し、企業経営がスパイラル的に向上していくことにつながります。

まとめ

サービス・プロフィット・チェーン(SPC)は、従業員満足度(ES)、サービス品質、顧客満足度(CS)、企業収益が向上しながら循環することで、企業経営がスパイラル的に向上していくという考え方です。企業経営の取り組みを考えるときに、サービス・プロフィット・チェーン(SPC)のフレームワークを採用してみてはいかがでしょうか。

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